共同創業者、あなたならどうする?有名企業から見る2つのパターン:自分とは真逆の人 vs 性格が同じ人
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1人で起業する人もいますが、どちらかというと共同創業者と起業する人が目立ちますよね。「共同創業者がいることは絶対条件」と断言する投資家もいるくらいで、「共同創業者を探すのは結婚相手を探すのと同じくらい大変」という人もいます。ではどんな共同創業者と組めばいいのでしょうか?どんなパートナーがいれば成功する会社を作ることができるのでしょうか?疑問に思い、様々な共同創業者たちの物語を調べてみたら、大きく2つのパターンがあることに気がつきました。それぞれのパターンの代表的な例を見てみましょう。


1.自分とは正反対!だからこそパズルのようにぴったりはまる

アップル共同創業者

出典:Cal Alumni Association, Berkeley

世界を変えたアップル。創業者と言ったらスティーブ・ジョブスを思い浮かべるでしょうが、実は「ウォズ」の愛称で知られているスティーブ・ウォズニアックと一緒に起業した。同じ近所で暮らしていた2人は、共通の友達に紹介されて出会う。2人ともいたずら好きで、何よりも電子機器が好きだったため、すぐに仲良くなったという。しかし、そんな共通の趣味や話題はあったものの、根本的な性格や目指すものは真逆だったと言える。

ウォズはシャイな青年だった。自称電子機器のオタクだった彼は、同い年の人たちが恋人と遊んだり、パーティーに行ったりしている間もラジオなどを作っていた。高校を卒業し、大学に進学。それからはヒューレット・パッカード(HP)にエンジニアとして就職した。

そんな真面目なエリートコースを進んだウォズに対して、スティーブの人生は波乱万丈。大学に進学するものの、興味のない必須科目をたくさん取らないといけないことに不満をもち、わずか6ヶ月で退学。その後はこっそりと大学の授業に潜り込み、自分の興味のあるものだけを勉強した。それ以外にも悟りを開くためにインドへ旅行したり、LSDなどのドラッグを試したり、とにかく自分がやりたいと思ったことはどんどんやっていく性格だった。

真逆の性格で互いの欠点を埋め合った2人

ウォズとスティーブは性格が真逆だったからこそうまくいった。とにかくコンピューターを作りたかった、というウォズ。起業したい、とか世界を変えたい、とはまったく思っていなかったという。HPのエンジニアとして誇りを持っていて、一生そこで働きたいと思っていたが、自分の好きなコンピューターを作るにはスティーブと一緒に起業するしかないと気が付き、戸惑いながらもHPをやめた。

一方のスティーブはコンピューターに関する知識は完全ではなかったが、世界を変えたいという大きなビジョンを掲げていた。そしてたくさんの人とのネットワークがあり、顧客を探したり商品を売ったり、ビジネス的なセンスも優れていた。

ウォズがコンピューターを作り、スティーブがそれを売る。お互いが得意分野に特化し、相手の苦手分野を埋めるようにしてアップルは作られたのだ。

2.とにかく仲良し!似たもの同士で一緒に切磋琢磨

ベンとジェリー

出典:USA Today

ユニークな味のアイスクリームを作り、世界中の人たちに幸せを届けているベン&ジェリーズ。共同創業者のベンとジェリーが出会ったのはニューヨークの高校の体育の授業。そこから一気に大の仲良しになった。

高校を卒業すると、それぞれ別の大学に進学したが、ベンは入学して間もなく中退。その後いくつかの大学を転々としながら陶器やジュエリー、アート・セラピーなどを勉強していった。学費を稼ぐためにマクドナルドのレジや清掃員、タクシーの運転手など様々なアルバイトをしていた。そんな人生に納得がいかず、70年代の初めにはニューヨークの郊外へ引っ越し、行き場のない子供たちが通う学校で工作の先生として働き始める。

一方のジェリーはオハイオ州の大学に進学した。そこではなんと「カーニバルのテクニック」という授業をとっていて、火を吹いたり、ハンマーとレンガを使った技を習得したりしたそう。それとは対照的に、卒業後は医学部を目指す。しかし受験に2度も失敗してしまい、ベン同様自分の人生に行き詰まっていた。そして70年代初め、婚約者とアメリカ南部のノースカロライナ州に引っ越す。それから3年後、2人はベン&ジェリーズを創業する。

瓜二つの共同創業者はどんな時でも息がぴったり

ベンとジェリーは、とにかく性格が似ている。お互い陶器作りやカーニバルの技など、一般的には仕事につながりにくいようなことでも興味があったら学んでいく性格。その一方でベンは先生をしたり、ジェリーは医学部を目指したりと人の役に立とうとする面もある。ベン&ジェリーズは社会貢献に力を注いでいるが、これは2人の「人を助けたい」という気持ちからきているのだろう。

そして2人はなんと言っても遊び心満載。「チャンキー・モンキー」「アメリコーンドリーム」「よよよいバニラ」などユニークなアイスクリームを見ても明らかだ。さらにはアップルのテレビコマーシャルのパロディーを作ったり、自分たちが支持する政治家の味のアイスクリームを作ったり。仕事の中でも外でも、何をするにも、ベンとジェリーは息がぴったりなのだ。

大の仲良しである2人。自分の良さを倍に増やしてくれる相手がいるからこそ、世界に愛される楽しい会社を作ることができたのだろう。


弱みを埋めてくれる対照的な共同創業者と組むか、強みを誇張してくれる類似的な共同創業者と組むか。正解はありません。ただ、お互いがそれぞれの役割やビジネスのスタイルに納得し、その個人を尊重できることが大切なのだと思います。みなさんも素敵な共同創業者と出会えるといいですね。

参考文献

Evan Carmichael: The Sweet Taste of Success: Ben & Jerry’s Takes Off
Evan Carmichael: Ice Cream Kings: Ben Cohen and Jerry Greenfield Are Born
Business Insider: Ben & Jerry’s made a stoner version of Apple’s classic ‘1984’ ad in honor of 4/20
Bernie’s Yearning
The Seattle Times: Q&A with Apple co-founder Steve Wozniak
Founders At Work: Interview, Steve Wozniak

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