「スタートアップを見るうえで重要なことが三つある。『チーム、チーム、そしてチームだ。』」これは投資家の間で有名な格言です。チームビルディングはスタートアップにとってまさに成功するかどうかの明暗を分けるものだということがよくわかりますね。ではいったいどうすれば最強のチームを作り上げることができるのでしょうか。
箱根駅伝で2年連続圧勝をとげた青山学院大学。かつて弱小だったチームを最強チームへと作り変えたのは原晋監督です。そんな原監督のチームビルディング法を見ていきましょう。
1. 大きなビジョンを掲げ、それを貫き通す魅力的なリーダーになる
出典:dot
「陸上界を明るく、未来のある組織にしたい」「陸上の魅力を伝え、競技人口を増やせるような発信力をもつ」「盛り上げることで、子供達に陸上を身近に感じさせる」
原監督は陸上界全体に対する熱い思いを、様々なインタビューで語っている。ただ単に「優勝する、強豪チームになる」という目標を立てているわけではないのだ。自らのチームだけでなく、陸上界全体を変えたい。その野心的なビジョンは厳格さを重視する人たちからは批判的に見られることもある。それでも「ぼくはファーストペンギン。(群れで一番最初に天敵が潜んでいるかもしれない海に飛び込んでいく、勇敢なペンギンのこと)最初にやる人はたたかれますから。」と強気な姿勢を崩さない。
個人の枠を超えるような大きく野心的なビジョンを持つ。そして批判されてもひるまない強さを持つ。そんな原監督の人間性こそが選手達の尊敬を集め、「この監督についていきたい」と思わせているのではないか。最強のチームをつくるには、まずは最強のリーダーが必要なのだ。
2. 独特の文化を築きあげ、その価値観に共感できる人を集める
出典:毎日新聞
「ワクワク大作戦」「ハッピー大作戦」。この「ふざけてるの?」と思われてしまいそうなスローガンこそが青学のチームの基礎にある。「長距離のイメージが厳しい、つらいだけでは、他のスポーツに選手が行ってしまう。楽しくやりたかった。」と原監督は語っている。
他のチームは「1秒を削り出す」や「原点と結束」など、いかにも真剣でストイックなスローガンを掲げる中、原監督は自分の持つ理想を信じ、前例のないような文化を作り上げていった。そして求める人材を「青山学院というスクールカラーにふさわしい、明るくて、表現力が豊かな人材」と説明している。もちろん陸上選手としての能力も考慮する。しかし、それ以上に大切にしているのはチームの文化にふさわしい選手を集めること。だからこそ全員が同じ価値観で、同じ理想に向かって走っていくことができるのだ。
3. メンバー1人1人の自立を促し、積極的に戦う人材へと育てる
出典:現代ビジネス
「山の神」と言われるまでに強い存在となった神野選手。上記写真は、そんな神野選手がつけている練習日誌だ。表紙には「三冠」という文字(出雲駅伝、全日本大学駅伝、箱根駅伝の3つの大会で勝利という意味)そして5,000m、10,000mの目標タイムが書いてあるという。このような練習日誌は神野選手だけの習慣ではない。原監督はメンバー全員に週、月、年単位で目標を立てさせ、その目標の達成に責任をもたせている。
さらに「厳しい上下関係」というイメージの強い体育会系の雰囲気を壊していった。1年生も4年生も同じように寮の掃除を行う。後輩が先輩に「もっと(気持ちを)引き締めたほうがいい。」などと思ったことを自由に言える雰囲気をつくる。
このように、「団体」としてチームを管理するのではなく、選手1人1人の自立を促進させる。その結果、それぞれの選手が自発的に試行錯誤し、積極的に戦いに参加するチームへと変わっていったのだ。
青学が強くなった理由、それは原監督という魅力的なリーダーがチームの文化を作り上げ、メンバー1人1人の自主性を高めていったところにあるのではないでしょうか。そんな原監督のチームビルディングの方法はスタートアップにおいても活かせそうですね。みなさんもこの3つの方法を参考にして、最強なチームを作り上げていってくださいね。
参考文献
Asagei:特別インタビュー“青山学院大・原晋監督”「ハッピー指数大作戦で箱根を連覇する!
日刊スポーツ:青学大の原監督、型破りハッピー大作戦が実る
朝日新聞:罰則の丸刈りやめて自立芽生えた 箱根連覇の青学大
東洋経済:青学・原監督に学ぶ「10年で超一流になる法」 ー「箱根駅伝圧勝」は、一日にしてならず
現代ビジネス:【箱根駅伝連覇へ】青山学院大学・原監督独占インタビュー!「山の神に頼らない、最強のチームができました」