最近になって、よく耳にするようになったのが「チャットボット」。なんとなく、おしゃべり(chat) をするロボット (robot)なのかなーと思いますよね?今回はそんなチャットボットをご紹介します。これさえ読んでおけば、次にチャットボットが話題に上がった時も安心です!
わかりやすく教えて!チャットボットって何なの?
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そもそもボットとは、例えばレストランを予約したり、予定をスケジュール帳に入力したりといった作業を自動的に行うソフトウェアのこと。「ロボット」という言葉からきているのだが、ソフトウェアであるためボットそのものは使っている人の目には見えない。
ボットには様々な種類のものがあるが、中でも最近爆発的に人気が高まっているのが「チャットボット」。ウェブサイトやメッセージアプリの中に存在していて、まるで人間のようにチャットのやり取りができる。iPhoneの音声ガイド、Siriはもうすっかり定着してきたが、チャットボットはチャット版Siriとも言えるだろう。以前紹介したSlackにもチャットボットがいくつか存在している。
TacoBotと楽しくおしゃべりをしながらお昼ご飯を注文
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現在活用されているチャットボットの多くは、カスタマーサービス関連のものが多い。例えば、ファストフード店のTaco Bell は最近TacoBotというチャットボットの試用を始めた。TacoBotとチャットするだけで、Taco Bellの商品を注文して、購入することができる。さらにオススメの商品を教えてくれたり、会社の同僚とグループで注文したい時などにも対応してくれる。
すでにメールに対する自動返信は浸透しているが、チャットボットはより人間らしくチャットのやり取りができる。TacoBotも「Taco Bellらしいユーモアのある性格」とのこと。上記GIFはTaco Botと人間の会話の様子を紹介しているが、「レタス抜き」という注文に対して「わかったよ。もったいないと思うけどね。」と返事をしている。このように人間らしくすることで、顧客にも愛着を持たれるし、より積極的に利用してもらえる。そして、人と同じレベルで接客ができるチャットボットがあれば、何万人もの顧客から問い合わせがきても、瞬時に全員に対応することができる。
急激に流行り始めた少し意外な理由とは?
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実はチャットボットはかなり前からある技術だ。世界で最初に「人間とチャットができる」と認められたのはELIZAというチャットボット。1966年のことだった。それから2001年にも、チャットボットの一次的なブームがあった。しかし、Googleの検索力には劣り、結局廃れたままになってしまった。
それが最近になって急速に流行り始めた。その背景は主に2つ。1つはAI(人工知能)の発達。最近は自動運転などでも話題にあがるが、人間らしい会話ができるチャットボットにも必要不可欠の技術だ。
そして2つ目の背景はスマートフォンアプリの衰退だ。意外に聞こえるかもしれないが、現在使われているアプリの種類はとても少ない。アプリ自体は星の数ほどあるが、実際にダウンロードされて毎日のように使われているアプリとなるとほんの一握りしかないのだ。そしてその一握りのアプリというと、だいたいがLINE、WhatsApp、Facebook Messengerなどのチャットのアプリ。チャットボットなら、すでに多くの人が利用しているコミュニケーションアプリに乗せるだけでいい。企業からしてみれば独自のアプリを大量のお金と時間をかけて作るよりも、素早く安くできるため魅力的な選択肢だ。もう流行らないアプリの代わりになるものとして、チャットボットが大注目されているのだ。
革命的な成功 OR 致命的な失敗か… 果たしてチャットボットの未来は?
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4月上旬、LINEがデベロッパー向けにLINE BOT APIというものを公開した。LINEで動くチャットボットが作れる、というものだ。まだ試用の段階だがこれが実用化されるとなると、大きなビジネスチャンスになる。現在、企業はLINEのオフィシャルアカウントという形で一般の利用者とつながることができる。でもこれはオフィシャルアカウントから情報を配信するだけの一方的なもの。オフィシャルアカウントにチャットボットがつけたせれば、一般の利用者全員と会話ができるようになるのだ。
フェースブックも同じ時期にMessengerアプリでチャットボットの開発ができるようにする計画を発表した。世界で9億人もの利用者がいる、この巨大なコミュニケーションツールで企業がチャットボットを作ることができたなら… 想像してみると、多くの企業や投資家がチャットボットにお金を費やしているのも納得できる。
一方で、チャットボットの爆発的な人気に対して慎重な声も上がっている。ベンチャーキャピタルのGV(旧Google Ventures)の共同経営者M.G. Sieglerは「チャットボットに対する期待値が現実を大幅に超えてしまっているのではないか。」という。人工知能が発達したと言っても、チャットボットを完璧に動かせるレベルにはまだ届いていない。チャットボットは一夜にして広まるものでもなく、まだまだ実験や研究が必要だと注意している。現実を忘れて、どんどんチャットボットに投資するのはやはりそれなりのリスクがあるのだ。今後チャットボットがどのように普及していくのか、まだまだ目が離せそうにない。
私はSlackのチャットボットSlackbotとの会話を試みましたが… 最初の15分は完全に無視されました。というのも、私が使い方をよく理解していなかっただけなんですが。Siriと話すときのように、自由にチャットメッセージを送ったんですが、それではダメなようです。
それはさておき、テクノロジーってすごいですよね。もうアプリが低迷期に入ったなんて知りませんでした。確かに顧客ともっと会話ができるチャットボットが普及すれば、多くの企業がより上手にカスタマーサポートができるようになると思います。でもこれはチャットボットの質がかなり高いことが前提ですよね。チャットボットが完全に自立して会話ができるようになるまでは、人間のサポートが必要なんだと思います。
参考文献
Forbes: Look Here For A Glimpse At Facebook’s Chatbot Future
Forbes: Get Ready For The Chat Bot Revolution: They’re Simple, Cheap And About To Be Everywhere
<re/code>: Bots, explained
The Verge: The Search for the Killer Bot
The Verge: Taco Bell built a bot that will order Crunchwrap Supremes for you