アーリー期、シード期の投資、出資を受ける際は、資金調達できる反面、投資家に依存しすぎることで受ける悪影響もあります。今回は、1人の投資家に集中してしまったが為に引き起こった悪影響の事例をもとにした記事をテーマにします。
この記事によれば、投資家に依存して起こるケースとして、下記のようなことがあったそうです。
・ 「新規の投資家として増資を引き受けて欲しいとあるスタートアップ企業に言われたので、その企業の話を聞くと、シード段階で30~40%も他の投資家に株を持たれていた。そんな状況では、もはや資本政策の組みようがないから、我々にとっては増資を引き受けるかの検討にすらのぼらない」
実際に、日本のスタートアップが、初期段階での資本政策の過ちで、次の資金調達がおぼつかなくなったり、経営陣が会社のコントロールを失ったりする例が、あちこちで見られるそうです。
それでは、スタートアップが、創業間もないシード段階で、低い株価で大きな株式持ち分を投資家に渡したらどうなるでしょうか。その参考も引用します。
① シード段階で小額しか調達していないから、すぐに次の資金調達が必要になる 。
② ところが、資金調達しようにも、初期の評価額が低いため、株価(会社の評価額)を大きく値上げしないと希薄化しすぎてしまい、経営陣の持ち分が大きく低下する(会社のコントロールも低下)
③ 急に大きく株価を値上げするため、新規の投資家たちは出資する気を失う 。よほど気前のいい投資家をみつけられない限り、経営陣の持ち分の大幅な低下を受け入れるか、少額の調達にとどめて低速の成長に甘んじるか、もっとひどい場合は会社をやり直すことにもなりかねない。
「株式会社」として、会社を設立する場合、初期段階は経営陣がその株を保有するかとは思いますが、出資や投資を受ける際には、それを分配していく形となります。それと併せて、分配した分だけ経営のコントロールが失われることになります。
一般社団法人ベンチャーエンタープライズセンターの発表によると、2013年のベンチャーヘの企業からの出資、投資は、ここ数年リーマンショックから持ち直しており、少しずつアーリー期、シード期にシフトしているようです。大手企業なども社内ベンチャーだけではなく、社内以外にも目を向けている昨今、初期段階での資金調達のチャンスは増える可能性があります。是非、その際には投資家としての出資のメリットや思惑などを理解した上で、投資を受けることも必要になってきます。
【2013 年度 ベンチャーキャピタル等投資動向調査結果】
http://www.vec.or.jp/wordpress/wp-content/files/2013-sokuho20131018_2.pdf
【しっかりしろ起業家たちよ 日本の間違いだらけスタートアップ・ファイナンス】
http://diamond.jp/articles/-/19466